映さない記録の記憶

俯瞰から見たあたしの顔はきっと自分では絶対に 見たくないほど醜く弛緩している筈だから。

勢いをつけてのしかかってくるあなたの顔は絶対に 見たくないほど力強く陶酔しきっている筈だから。
乳房が揺れるから膣が開くからもっと暗くして見ないで。 手で感じて。肌が擦れ合うさりさり感を味わってそれから この暗闇に浮かび上がる裸体の二人を見て。

なにか違う生き物になっているのがわかるでしょ。

息だけ荒くてみっともなく喘いだ姿に 折り重なる妙に激しく前後する情けない後姿。

こんなものを静止画像にしてどうするの?

こんなものを残して何になるの?

見ないで撮らないで二人の頭の中に映しこむだけでいいじゃない。

鼓動なんて撮れやしない。

あなたの血管の浮き出た腕や、あたしの勃ったままの乳首の どこに留める価値があるの?

雑な感情を残して何が興奮するのかわからない。

あなたのビートはあたしの奥が覚えておくから。

あたしのビートはあなただけが左右するから。

そんな無機質なものに身を任せるなんてやめよう。

もっと暗くして。
真っ暗にして見ないで。
喘ぎだけ見てよ。
どんどん熱くなる蒸発していく淫の匂いだけ見てよ。
ちゃんと目開いて。